晶文社編集部(編)
植草甚一ぼくたちの大好きなおじさん-J・J 100th Anniversary Book
晶文社、2008年8月
鏡 明:散歩は探検だということを発明したのは植草甚一じゃないだろうかと思っている。
35頁 上段
植草甚一という人を初めて見たのは、渋谷の道玄坂の下、恋文横丁の中にあった石井さんの店だったと思う。その店は洋書の古本屋だったのだけれども、巾一間ほどの店の前にはビニール袋に入れた洋雑誌がずらりと貼り付けてあった。その雑誌の下をくぐるようにして入ると、ハードカバーやペーパーバックが雑多な感じで積んであった。そのすぐ左側に石井さんが座っていて、客が一人入ったらもういっぱいになってしまう。いや、もう一人ぐらい何とかなったかな。
37頁下段
そのことを実感したのは、植草甚一の死後、その本の一部を見たときだ。
やっぱり八十年代の初めのことだけれども、恋文横丁の店を畳んだ石井さんが神田駿河台下と小川町の間のビルの三階に移ってきたことがあった。その店は植草甚一の蔵書の一部を売りさばくための店だった。
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